TCFD提言に基づく開示

ガバナンス

当社グループは、代表取締役社長を責任者とした部門横断チームにおいて、気候関連問題に関する分析・対応の取りまとめを行っております。シナリオ分析に基づきリスクと機会を特定し、対応策を策定したうえで、「ビジョン2030」と中期経営計画に反映させ、取締役会に報告しております。2022年8月にサステナビリティ推進室を設置し、地球環境に配慮した企業活動の更なる促進や開示情報の充実を図る体制を整備いたしました。また、全てのファクトリーで1999年にISO14001を取得し、環境方針に基づいた小集団活動にも積極的に取り組んでおり、生産本部を管掌する代表取締役社長が、環境活動を統括しております。

リスク管理

各部門の責任者が出席し毎月開催される危機管理会議では、リスクに関する方針や対応について協議するとともに、気候関連リスクを含む全社のリスクについては四半期ごとに見直しを行い、年度事業計画の策定や進捗管理などに反映させ、経営会議および取締役会に報告しております。

戦略

当社グループは、事業における気候変動のリスクと機会を明らかにし、適切な対応策を検討するために2022年に実施したシナリオ分析においては、環境省や国際エネルギー機関(IEA)などの情報をもとに、2030年の世界を想定した2つのシナリオ、すなわち、世界の平均気温が4℃以上上昇する「4℃シナリオ」と、パリ協定で合意された2℃未満の上昇に抑えられる「2℃シナリオ」について分析を行いました。2℃シナリオでは、気候変動による影響により原材料の品質低下や生産量の減少が予想され、これに伴い調達コストが上昇することを把握しました。また、環境関連の規制強化や炭素税導入などの対策が進むことで、移行リスクが高まることも把握しました。一方、4℃シナリオでは、異常気象などの物理的リスクが高まり、災害の激甚化が生産・物流・販売拠点に被害をもたらす可能性があります。また、原材料不足や使用可能な原材料の品目数の減少により、商品開発に制約が生じる可能性も考えられます。これらの要因は、当社グループが理念に掲げる「豊かなライフスタイルの創造」の実現に大きな影響を及ぼす可能性があることを示しています。

2030年の世界においては、物理リスクよりも移行リスクが、利益に与えるインパクトは大きいと試算しております。一方、包装容器資材において、環境に配慮した消費者の行動変容への対応や、新たな技術・環境対応型素材の活用により、温室効果ガスの削減を進めております。さらに、当社グループのビジネスモデルを活かし、生産から販売に至る部門において一貫した取り組みを行うことで、原材料の生産者と消費者をつなぐサプライチェーン全体への影響力を発揮し、持続可能なフードシステムを構築していくことを目指しています。

これにより、ロック・フィールドメンバーズを中心としたお客様に対し、当社グループの取り組みや想いを伝え、価値共感の輪を広げていくことが、機会の拡大に繋がると考えています。また「ビジョン2030」と中期経営計画には、このシナリオ分析を反映させており、今後も継続的にリスクと機会を見直し、対応策の実施を進めてまいります。

気候変動シナリオに基づくリスクと機会

気候変動シナリオに基づくリスクと機会 表

リスク対応策と機会

リスク対応策と機会 表

指標と目標

当社は、温室効果ガス(GHG)排出抑制に向けて、2031年4月期までに2019年4月期比Scope1とScope2で30%削減を目標として設定し、GHG排出量の削減率を指標としています。また、食品の製造小売企業として、資源の有効活用を気候変動に関連する重要な取り組みと位置付け、『店舗における食品ロス発生量』『生産拠点における食品残渣発生量』『化石燃料由来のプラスチック使用量』についても「ビジョン2030」の非財務目標の達成に向けて、全社で推進してまいります。

GHG排出量

項目 2020年度実績値(CO2e-t)
Scope1 5,778
Scope2 14,014
Scope3 96,403

ロック・フィールド単体(国内事業のみ)のうち、カテゴリ9を除いた範囲を算定しています。

排出原単位には、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.1)」と「IDEAv2.3(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」を参照しています。