ポワロ葱・色付き根菜(北海道)

羊蹄山
北海道真狩村にある三野農園

三野農園のある北海道真狩村は、その美しさから「蝦夷富士」とも呼ばれる羊蹄山の麓にあります。

寒暖差のある気候、羊蹄山のきれいな水、火山性の土壌、冬の豪雪といった自然条件がそろう、この豊かな土地で、三野さんは5代にわたり農業を営んできました。日本では生産量が少なく、栽培が難しいとされる野菜を根気強く作り続ける、三野さんの作物に対する熱い思いが伝わってきます。

希少な国産のポワロ葱

日本での生産量は非常に少なく、流通しているポワロ葱は輸入のものがほとんどですが、当社は三野さんが育てる国産のポワロ葱を季節限定で使用しています。

ポワロ葱の特徴はなんといってもその太さ。加熱することでトロっとした甘みが引き立ち、適度に食感もありとても美味しい素材です。葱特有の刺激のある香りが少なく、風味が優しいところも魅力です。三野さんの理想とするポワロ葱は「太くて身が締まっている」もの。また白い部分をなるべく長くするために、約6か月の栽培期間中、土寄せ(根本部分に土をかけて緑色にならないようにする)と除草が欠かせません。

「ポワロ葱は夏の暑さが嫌いで、9月になり朝晩が寒くなってくると急に太り、締まりだします。畑にいる時間も我が家の品目の中で一番長く、その分手をかけている時間ももっとも長い。長く畑にいるということはそれだけ栄養を吸収するので、力のある土壌が必要となります。真狩村の土地はそれを続けていけるだけの環境があり、この地を開拓した先祖には日々感謝しています」

作業風景

三野さんが育てる国産のポワロ葱

「ポワロ葱栽培は先代がスタートしましたが、現実は甘いものではなく、太くならない、短い、出来ても長ネギを作った方がいいんじゃないかというくらい売れず、同時に始めた周りの農家はみんな見切りをつけてやめていく中、それでもやめない父の背中と文句を言いながらも作業を続ける母の背中を見て、私は色々な葛藤を繰り返してきました。いつか日の目を見ると信じ覚悟を決めて今日までやってきましたが、メニューに取り入れてもらえるようになり、言葉では言い表せない喜びを感じています」(三野さん)

色付き根菜を探し求めて(紅くるり・紫大根・黄色ビーツ 他)

当社は2005年頃から、中身が驚くほど鮮やかな色を持つ紅芯大根という色付き根菜をサラダに使い始めました。見た目の華やかさがとても魅力的で、お客様の反応もよく年々使用量が増えていました。そこで購買担当者は他にも色付き根菜がないだろうかと探し始めたのです。根菜の旬は冬(11月~2月頃)、それより少し前(9月10月)に先取りで使いたいとの思いもあり、栽培時期の夏でも冷涼な産地が理想的でした。そんな中、珍しい根菜類を少量多品目で栽培している生産者が北海道にいることを知り、2015年に三野さんと出会いました。

初年度は紅くるり・紫大根・黄色ビーツの仕入れからスタートしました。

紅くるり(ずんぐりとした小ぶりの赤大根。果肉も赤い)
紅くるり(ずんぐりとした小ぶりの赤大根。果肉も赤い)
紫大根(皮と果肉の中心が紫色。辛味が少ないのが特徴)
紫大根(皮と果肉の中心が紫色。辛味が少ないのが特徴)
黄色ビーツ(日本では種の入手が難しく、栽培も困難な貴重種)
黄色ビーツ(日本では種の入手が難しく、栽培も困難な貴重種)
現在では15品目前後の野菜を納品いただいています。(9月頃~2月頃まで)
現在では15品目前後の野菜を納品いただいています。(9月頃~2月頃まで)

信頼関係を築き、旬の先取りを実現

希少かつ高品質な素材にも関わらず、これだけの品目数を納品いただけるようになったのは、素材に対するお互いの価値観の共有に他なりません。日頃から購買担当者が三野さんと情報交換をし、定期的に産地を訪問しています。また経営トップ自ら視察に出向き、直接生産者の声を聞くなど、信頼関係の構築を大切にしています。

視察を行う当社会長の岩田(写真、右側手前)
視察を行う当社会長の岩田(写真、右側手前)
倉庫前のアスファルト整備をサポート
倉庫前のアスファルト整備をサポート

取引当初、旬の先取りで9月から使用できたのは「紅くるり」と「紫大根」だけでしたが、コミュニケーションを重ねながら少しずつ先取りの品目と使用量を増やしてきました。現在では8月後半から「紫大根、紅くるり、青芯大根、紅芯大根、黄色人参、アロマレッド、ビーツ」を使用することができています。お互いに信頼関係を築き、お客様に美味しさを届ける取り組みを一つ一つ積み重ねています。